足立革新懇新春学習会―いくつもの憲法違反で軍事費43兆円はゆるされない!-ジャーナリストの布施祐仁さんを迎えて

専守防衛から敵基地攻撃能力保持へ―岸田内閣の前のめりの本質は

2月4日、北千住の生涯学習センターで新春学習会を開催、30人が参加しました。講師の布施祐仁さんは福島の原発事故や南スーダンでの自衛隊活動の日報隠匿問題などを鋭く追及しているジャーナリスト。1時間半の熱のこもる講演を聴きました。

<要旨>

●背景にアメリカの世界戦略

アメリカは戦後長い間政治・経済のあらゆる分野で世界の覇者として君臨してきたが、近年の中国の発展に強い危機感をもち、引き続き世界の覇者であり続けるために「国家安全保障戦略」を昨年10月に発表、その中身は①中国に対する優位性の維持、②同盟国・有志国との強力な連携、③米軍の強化・近代化だ。

遡って、昨年1月に訪米した岸田首相は、米国の戦略に「完全に整合させる」という内容で合意しており、12月に岸田内閣は国会での議論抜きで「敵基地攻撃能力の保持」を閣議決定(自公合意)。戦後の日本では、自民党政権の下でも「専守防衛」を維持してきたが、いとも簡単にひっくり返した。そのうえ、防衛費の2倍化(43兆円)で国民負担は膨大になる。

アメリカは、軍事的には中国を囲む形で第一列島線(日本列島から沖縄を含む南西諸島、台湾、フィリピン)に地上発射型中距離ミサイルの配備を進める計画で、対中国の防衛線と位置付けている。ということは、米中間で軍事的な事態が発生すれは、日本は敵基地攻撃能力でミサイルを発射、直接反撃を受けるのは日本となり、戦争に巻き込まれることとなる。憲法で定めた「戦争しない国」は「戦争する国」へと変貌する。

●中国と台湾の関係

中国も台湾も、戦後一貫して「1つの国である」という考えは変わらない。今も「独立」より「現状維持」が多くの台湾の人たちの考えで、国際社会もそれを認めている。「台湾独立」となれば戦争の危機は増すが、そうでなければ軍事的侵攻は無いだろう。ロシアのウクライナ侵攻もあり、漠然とした不安はあるが、過度な防衛力の増強はかえって戦争の危機を増すことになるだろう。

●日本の立場

アメリカ一辺倒では、アメリカの戦争に巻き込まれてしまう。先の戦争の反省から生まれた「戦争放棄」(憲法9条)を守り抜き、憲法前文の「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」との精神で、あらゆる国との対話と信頼関係を結び、世界平和の使者として努力することが必要だ。

「CRISIS IS OPPORTUNITY」(危機を変化のチャンスに)

<参加者の感想から>

  • 米国の覇権のために日本が利用されることは許せない。平和のための運動を広く進めたい。
  • これまでの知識以上のことが聞けて良かった。閣議決定だけで決める内容ではない。緊急事態条項の先取りだ。アメリカ一辺倒でなくアジア平和外交に力を尽くすべき。
  • 軍事費43兆円、そんな馬鹿なことあるか。国民生活はますます苦しくなる。岸田内閣(自民・公明)はもうだめだ。変えなければ。