離婚後共同親権の民法改定案の強行に抗議します

声明

離婚後共同親権の民法改定案の強行に抗議します

                            2024年5月29日  足立革新懇(平和・民主・住みよい日本をめざす足立の会)

離婚後の共同親権をすすめる民法改定案が、多くの当事者、女性の声を無視し、野党の大幅修正の提案も退け、充分な審議も行われずに拙速に参議院で採決が強行されました。婚姻や離婚など女性や子どもたち一人ひとりの人生に関わる法律の改正を、岸田自公政権は国民の声を無視しとおし、数の力で押し切って成立させたのです。日本維新の会の議員のDV被害者を加害者のように決めつけた発言など、許されるものではありません。

法律の最大の問題は、父母の合意がなくとも離婚後共同親権を家庭裁判所が決めるというしくみづくりで、すでに離婚している人にも遡及されるなど、許されるものではありません。小泉法務大臣の答弁も揺れ続け、「共同親権を誘導するが、合意がなければ単独親権にするべき」などと言ったものの、法案に明記もされていません。裁判することになれば、時間も、お金もかかり、精神的ストレスも増大し、単独親権を希望しても諦めざるをえないなどの懸念の声も払拭されていません。

なぜ、いま離婚後共同親権なのか。推進してきた人たちは、身体的・経済的・精神的DVや虐待などから避難した被害者を「子ども連れ去り」「偽装DV」などとして、離婚後も元配偶者や子どもの暮らしに干渉、支配、管理をするものであり、古い家族観の押しつけで家庭に混乱を持ち込むものです。旧統一協会関連団体は「家族断絶予防を」と運動してきましたが、このような人たちと結びついた自民党議員らが今回の法改正を進めてきたのです。

民法改正の理由とした「面会交流」は、現行法でも可能です。今、課題である子どもの養育費の支払いについては、国の立て替え制度や徴収制度なども含まれていません。単独親権を可能とするのは、「日常行為」や「急迫の場合」とされていますが、何が「日常」で、何が「急迫」か不明確で、裁判に訴えられたり、場合によっては損害賠償さえ求められる事態さえも想定されます。子どもに関する重要事項について常に合意を求められ、親の資力が要件となっている支援策や、親の同意等が要件となっている手続きは、法務省が把握しただけでも32項目になるなど、問題点が次々と明らかになったにもかかわらず、拙速に採決を強行した責任は重大です。

法案には、子どもの最善の利益の優先と意見表明権の尊重が明記されていません。「子どもに対する親の権限」を振りかざす離婚後共同親権は、DV被害者である親子をさらに追い詰めます。施行前に大幅な改正を行うとともに、明治民法の家父長制の影響が強い「親権」という言葉や概念、制度の抜本的改正をしっかりと行なうよう求めます。